関東から九州の老人ホームへ入所 遠方に越しても代理人を立て売却成立
2022/9/22
このページでは、被相続人であるお兄様のご自宅売却を担当した不動産業者が、今回の売却を振り返って解説します。
<この事例の概要>
平野 梅さんのお兄様は生前、自分の死後を見据えて入念な準備をしていました。そのおかげで平野さんにとっての相続は、煩雑な手続きがない非常にスムーズなものになったのです。お兄様は相続でトラブルの元になりがちな自宅を事前に売却して現金化するなど財産を整理した上で、「すべての財産は妹である平野梅に相続させる」という内容の公正証書遺言を作成し、司法書士を遺言執行者に指定。結果、相続人である平野さんは何も困ることなく、相続が完了しました。
もくじ
解説者プロフィール
株式会社北斗ハウジング
埼玉県所沢市を中心に幅広い不動産サービスを展開。お客様のあらゆるニーズにワンストップでお応えします。売却の難しい不整形地や再建築不可の戸建ての買取りなど、不動産にまつわるあらゆる不安や不満、不便、不実を解消するため、不動産業界の常識に捉われないサービスの提供をおこないます。
老人ホームへの入所を機に、自宅を売却
平野様のお兄様は当時、埼玉県にあるご自宅で暮らしながら老人ホーム入所の順番待ちをしていました。数年前に奥様を亡くした寂しさがきっかけになったのか、初期の認知症から夜中でも妹である平野様に電話をかけるようになり、お兄様の一人暮らしに不安を覚えた平野様が入所を勧めたそうです。
私どもへの最初のご相談は「老人ホームへの入所を予定しているが、入所が決まり次第すぐに売却したい」とのことでした。ご自宅を確認しに行くとすでに大きな荷物がほとんどない状態で、少しずつ家の整理を進めてきたようでした。数ヶ月後、想定より早く老人ホームから「急きょ空きが出た」と連絡が入ったそうで、「すぐに売却を進めてほしい」と依頼されました。
遠方に越しても、安心して取引いただけるよう配慮
お兄様が故郷である大分県の老人ホームへ入所すると、遠方になり顔を合わせてお話しすることが難しくなります。そのため入所前にできるだけ疑問や不安を解消していもらいたいと考え、売却に関する話を一つひとつ書面を見せながら細かく丁寧に説明していきました。お兄様はメモを取りながら熱心に話を聞き、ご自身で納得しながら進めようとしていらっしゃいました。また疑問や心配事が発生するたびにお電話をくださったので、その都度丁寧に回答することを心がけました。
その過程で「いままでここで楽しく過ごしてきたんだ」と、懐かしそうに目を細めながら昔話をしていたのをよく覚えています。奥様と過ごした日々や隣近所の方との交流など、この地でかけがえのない思い出を築いたことが伺えました。
代理人を立て、無事に売買契約成立
ご自宅は閑静な住宅街にある一軒家。駅からは徒歩16分と少し離れていますが、徒歩5分以内にスーパーやコンビニ、学校、役所、郵便局などがそろっている非常に便利な立地です。子育てファミリーも快適に暮らせることが、容易に想像できました。
加えてお兄様が丁寧に暮らしていたため建物の状態が良かったこともあり、中古戸建として販売開始して2ヶ月経たずに売買契約が成立。お兄様の要望に近い金額で売却できました。
しかしその頃、お兄様はすでに故郷である大分の老人ホームに入所済み。以降の手続きは、東京で建築関係の仕事をしている従兄弟様に委任状を用いて一任されました。しかしながら遠隔での売却取引は不安に違いありません。そこで私は、お兄様と従兄弟様と3人で常に進み具合を電話などで共有し、細やかに説明しながら手続きを進めることを心がけました。
最後に老人ホームからお兄様の住所変更後の住民票などを送付いただき、残金決済もお兄様ご本人の承認を受け、無事に引き渡しが完了したのです。
その旨をご連絡差し上げると、きれいな別府湾を望む写真のポストカードを送ってくださり、喜びと安堵の気持ちを伝えてくださいました。