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面識のない親戚も相続人だと判明、憂鬱なやりとりをすることに

2023/2/27

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この相続事例の体験者

この相続事例の体験者

岸本 昭子(仮名)

東京都在住。80歳。
夫が亡くなり相続手続きをしようとしたら、自分以外に面識のない親戚も相続人であることが判明。憂鬱な中、遺産分割協議などやりとりをすることに。

預金額がわからない!まずは信用金庫の担当者を頼った

夫が亡くなったのは、2018年冬のことでした。

49日が終わって少し落ち着いた頃、私は夫の口座がある信用金庫を訪ねました。夫の生前、我が家はお金の管理を基本的に夫が担っていました。私は毎月、決まった金額の生活費を受け取って食費や日用品費をやりくりするのみ。なので、どれくらいの貯金があるのかもよくわかっていませんでした。そこで、信用金庫の営業担当者に預金額を確認すると同時に、相続についても相談することにしたのです。

「主人が亡くなって相続が発生したのだけど、どうしたら良いかしら」と尋ねると、担当者は司法書士を紹介してくれました。

自分にはできない!全ての相続手続きを司法書士に依頼

さっそく司法書士の事務所に行き、今後の相続の進め方について相談しました。遺産が預貯金と自宅であることを伝えると、まず預貯金に関する手続きを優先するようアドバイスされました。先に信用金庫を訪ねたことから預貯金の口座が凍結される可能性もあり、手続きを優先することでまずは現金の引き出しができるようにするためだそうです。でも、そのようなことをしたことがなく、自分でできるか不安だったので、相続に関する手続き全てを司法書士に依頼することにしました。

司法書士は、手続きに取りかかる前に「 遺言書 はありますか」と私に尋ねました。私たちには子どもはおらず、夫の兄弟は全員亡くなっています。揉めることもないだろうと思っていたのか、そもそも書く気がなかったのかわかりませんが、遺言書はありませんでした。その旨を伝えると「手続き上、 法定相続人 が本当に岸本さんだけなのか確認しますね」と。

正直、私以外に相続人がいると思っていなかったので、そんな必要はあるのかしらと思いましたが、思わぬ結果が待っていたのです。

自分以外に6人も相続人がいることが判明!

数日後、司法書士から電話がありました。

「岸本さんのほかに、相続人がいることが判明しました。今回は岸本さんを相続人に指定した遺言書がないため、亡くなった旦那様のご兄弟のお子さんたち(甥・姪)が 代襲相続 人に該当します。なので相続人は、岸本さんと甥・姪6人の計7人です」

正直、驚きました。同時に不安にもなりました。だって甥と姪の中には、一度も会ったことがない人もいるのです。その人たちとこれから相続についてやり取りしなければならないのかと思うと憂鬱でした。何より、自宅を彼らと一緒に相続する場合、このまま住み続けられるのかと自分の今後が懸念されます。

私はなぜ相続についてちゃんと調べなかったのかと今更ながら自分を責めました。司法書士は、今回の事態になった理由を「遺言書がないから」と言っていました。夫ともっと話しておけば良かった、誰かに相談しておけば良かったと後悔の気持ちでいっぱいです。

担当した専門家が解説!
「ここがポイント」

私たち司法書士は、相続について相談を受けるとまず法定相続人に該当される方はどなたなのかを調査します。有効な遺言書がない場合、亡くなった方の財産を相続できる方は法律で決まっており、該当者以外は相続することができないからです。つまり「誰が法定相続人になるのか」「それぞれの法定相続分はどのくらいか」は必ず確定させなければいけません。また、遺産分割協議をおこなう際もそれがベースになるので、法定相続人の調査は欠かせません。

今回のようにお子さんなど直系の血族がいなく、ご兄弟も亡くなっている場合、相続人は配偶者の自分だけだと思ってしまう方は少なくありません。しかし実際には、被相続人の兄弟の子どもたちなどが代襲相続人になる場合があります。配偶者だけで財産を相続したい場合は遺言書が有効です。兄弟姉妹の代襲相続人は遺留分がありませんので、遺言書にその旨を記載しておけば、配偶者が100%相続することが可能なのです。思いがけないトラブルになる前に、お子さんがいらっしゃらない場合には遺言書を用意しておいた方が良いでしょう。

解説者プロフィール

髙橋健一

司法書士ケン総合事務所

代表司法書士

髙橋健一

1974年生まれ。2001年司法書士試験合格、2003年司法書士登録、司法書士法人の共同経営を経て、2012年司法書士ケン総合事務所を開設。各士業(弁護士や税理士等)との豊富なネットワークを活かし、お客様一人一人にあった質の高いサービスを提供している。 近年、遺言書作成や成年後見、民事信託といった生前対策分野のご相談が増えてきたことに伴い、更にサービスの向上を図るべく、また社会問題となっている超高齢化社会への貢献活動の一環として一般社団法人日本生前対策支援協会を設立。


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