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相続割合が最も多い相続人の一声で均等配分に

2022/9/27

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相続人が複数いる中で遺言書がない場合、「配分はどうするか」「不動産は処分するか、残すか」などと揉めがちです。しかし今回お話を伺った相続人となる須田さん(仮名)たちは、一切揉めませんでした。それは被相続人である父方の叔父が生前に「等分に相続してほしい」と推定相続人の1人に伝えていて、しかも相続者間の関係性が良好であったから。実際にどのような相続がおこなわれたのか、須田さんに振り返っていただきました。

この相続事例の体験者

この相続事例の体験者

須田 明人さん(仮名)

60歳。長野県在住。
子供のいない叔父が亡くなり、甥にあたる自身を含め姪と共に相続人となる。叔父と親しかったことから責任をもって相続手続きを取り仕切ることに。

病院からの連絡で知った叔父の死に際

「あなたの叔父さんが入院しており、余命わずかです」と病院から連絡を受けたときは、本当に驚きました。叔父が入院していたことすら、私たち親族は誰も知らなかったのです。

家族を持たず1人で暮らしていた叔父を入院させてくれたのは、日頃から叔父と付き合いのあった近所の方。90歳を超える叔父を、日頃から気にかけてくれていました。ある日いつものように電話をかけたら「ごはんが食べられない」と話していたらしく、様子を見に行ったらほとんど歩けない状態だったそうです。

私が連絡を受けて慌てて病院に駆けつけたときには、叔父はすでに喋れない状態でした。ほどなくして叔父はこの世を去りましたが、最期に顔を見て手を握れたことは本当に良かったと思っています。

叔父の死後の対応を主導することに

叔父は4人兄妹でしたが全員すでに亡くなっており、 配偶者 や子どももいません。両親も亡くなっているため、近しい親族は甥の私と3人の姪のみ。葬儀から相続までの一連の流れは、私が取り仕切ることになりました。

葬儀会社は、私の親が亡くなったときにお世話になったところだったので、すでに面識があり、丁寧な対応で信頼もしていたので、少し気が楽でした。葬儀のあと、担当者に「奥様もお子さんもいらっしゃらないから相続が複雑そうだけど、どうするつもり?」と尋ねられて。正直に「まだわからない」と答えたら、相談先として相続を専門にしている行政書士を紹介してくれたのです。信頼を寄せている方からの紹介が一番信用できますからね。その方に相談することにしました。

相続人がもう1人いる?新たに判明した事実

さっそく紹介してもらった行政書士に連絡を取り、相続の段取りの説明を受けました。そして遺産の洗い出しと遺言書があるかの確認をするよう指示を受けました。その時点で遺産とわかっていたのは、叔父が暮らしていた家だけ。遺言書があるかどうかもわからない、どこの銀行に口座を持っているのかもわからないという状況だったので、とにかく家中を探して通帳などを見つけていきました。しかし、 遺言書 だけは最後まで見つけられなかったので、作っていなかったのでしょう。

そんな中、驚きの知らせが入ります。同時進行で行政書士に法定相続人を調べてもらっていたのですが、札幌にもう1人の従姉妹がいることがわかったのです。そもそも叔父は5人兄弟で、末の弟が幼い頃に養子に出ていて彼女はその娘でした。

5人で遺産を等分に分けると決めた

3人の姪にこの旨を伝えたら、札幌の従姉妹のことは誰も知らなかったようで非常に驚いていました。これで 法定相続人 は5人と確定したものの、さらに行政書士は「叔父の母親が再婚していて叔父と須田さん(私)の父親は異父兄弟なため、配分は等分ではありません」とおっしゃいました。

しかし一番配分が大きいとされる姪が「叔父は遺産を等分に分けてほしいと言っていた。だから平等に分けたい」と言ってくれて。「叔父の遺志を尊重しよう」と全員が同意し、等分に分けることが決定しました。

「売れないかもしれない」違法建築だった叔父の自宅

次に考えなければならなかったのは、叔父の自宅についてです。処分することで全員が合意していたのですが、行政書士は「簡単には売れないかも」という見解を示しました。

その原因は違法建築だったこと。そのこと自体は以前から知っていたのですが、違法建築である家の売却が難しいことは今回の件で初めて知り、それを聞いたときは、ただただ困惑しました。けれど行政書士がこうした難しい物件の取り扱いが得意な不動産会社を紹介してくれたので、とにかく相談してみることにしました。

投資用物件として売れるかも?

さっそく紹介された不動産会社の担当者に、叔父の自宅を見てもらいました。行政書士に言われたように、やはり再建築できない土地だったようで、「売却するなら建物は解体せずに、そのまま活かすしかない」とのこと。「なんとか処分できないか」と尋ねると、不動産投資家向けに売却する提案をいただきました。

そのような選択肢があることに対する驚きと同時に、「売れないかも」と半ば諦めていたので、すごく「助けられた」と感じた記憶が心に残っています。私たちとしてはマイナスにさえならなければ良いと考えていたのと、このような難しい不動産に関してとても知見のある会社に思えたので、すぐに「お願いします」と伝え、さっそく売却に向けて、家財整理に取りかかりました。

不動産売却が終わり、相続も無事幕引き

売りに出してから1ヶ月後、初めての問い合わせが入り、そこから約半年後には売買契約に至りました。築48年と古いものの、幸いにも見た目がきれいで立地が良かったのが功を成したようです。

逐一、進捗を共有していた姪たちも本当に喜んでくれて。今回相続したような違法建築物件は、処分できても費用の持ち出しが発生するケースも多いと聞くので、少ないながらもプラスで売却できて本当に良かったです。

こうして、子どもの頃から可愛がってくれた叔父からの相続を最後まできっちり終わらせたいま、一連の手続きを主導する重責からも解放され、心より安堵しています。


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