相続予定の空き家が「ごみ屋敷」状態に!事前に整理したことで将来のリスクを予防できた!
2023/12/15
もくじ
この相続事例の体験者
佐伯 亮一(仮名)
千葉県在住。60歳。
将来的に自分が相続することになる家が、ごみ屋敷状態になっていることに気付く。後々困ることが目に見えていたため整理しようと思うが、どの業者に頼んだらいいのかがわからず途方に暮れる。
高齢の叔父が熱中症に!駆けつけると自宅はごみ屋敷状態!
叔父が利用していた介護施設から連絡があったのは、2年前の夏でした。デイサービスのお迎えに行ったものの、叔父が出てこないということで、心配した介護施設の職員から緊急連絡先となっていた私に電話があったのです。
叔父は当時87歳。妻である叔母に先立たれたあと、都内の小さな戸建てで一人暮らしをしていました。叔父夫婦の間には子どもがいません。叔父の弟の子で、甥にあたる私を、叔父夫婦は自分の子どものようにかわいがってくれました。そういった関係があり、私が叔父の身元保証人となっていたのでした。
とはいっても、叔父とは歳を重ねるごとに疎遠になっていました。私自身も3年前に大病し、叔父の状況を気にする余裕もなかったのです。
介護施設から連絡を受けて久しぶりに叔父に電話を掛けました。しかし何度掛けてもつながりません。急いで叔父の家に駆けつけましたが、玄関の鍵も開きませんでした。このため、警察に相談して玄関を突き破ってもらいました。
家の中に入ると、おびただしい数のごみで前が見えません。マスクをしていましたが、何とも表現できないニオイも漂っていました。最悪の事態を覚悟しながら中に進んでいくと、一緒に入った警察の方が寝室の端で倒れている叔父を発見し、緊急搬送。エアコンもつけずに寝ていたため、熱中症になっていたようです。
叔父は幸い一命を取り留めましたが、しばらく入院することになりました。その後、退院はできたものの、軽度の認知症を発症しているようで、一人暮らしを続けるのは難しいようでした。現在は介護施設で暮らしています。
ごみ屋敷状態の家に困り果てて区役所に相談
叔父の容体が落ち着いてから数か月後、私は空き家となった叔父の家を整理しなければいけないと考えました。実は、叔父が元気だったころに「この家をお前に遺すから」と、言われていたのです。叔父は万が一に備えて、私に叔父の自宅を相続させるための 遺言書 も準備しているようでした。
このため、現状を踏まえ、いざという時に焦らないように、遺言書をはじめとした相続手続きに必要な重要な書類だけでも、見つけておきたいと思ったのです。しかし、何から始めたらいいのかもわからないほどのごみの量で、途方に暮れてしまいました。業者に頼もうにも、どういった業者がいいのかもわかりません。
すると、最初に連絡をくれた介護施設の方が「困っているなら区役所に相談したらいかがですか?」とアドバイスしてくれました。
さっそく区役所に相談に行くと、担当の職員さんは親身になって話を聞いてくれました。そして、「家の片付けをしてくれる業者さんをご紹介しましょうか?」とおっしゃってくれたのです。
家が片付き重要書類も出てきてほっと一安心
見知らぬ業者に依頼するのは不安でしたが、区役所からの紹介なら大丈夫かと思い、見積もりに来てもらうことに。私としては、叔父の家をすべて片付けるのではなく、とにかく足の踏み場のない状態やごみをどうにかしたいと考えていました。そして、散乱するごみの中に重要な書類が含まれている可能性もあるので、それは別に分けて保存してほしいという思いもありました。いちいち選別する必要があるので面倒なお願いだと思いましたが、快く引き受けてくれたのでほっとしました。
作業時は私も手伝おうと思っていましたが、むしろ何もしないほうが作業が捗るようで、たくさんのごみが運び出されていくのを見守ることしかできませんでした。あとで業者さんから聞いてわかったことですが、家の中にはネズミの死骸やフンなどもあったそうです。自分たちだけでやっていたら片付けの途中で挫けてしまったかもしれません。
作業後に家の中に入ると、明らかなごみは処分されてなくなっており、書類はすべて一つにまとめられていました。要望にしっかり応えてもらえたので、本当にお願いして良かったです。今は業者さんに分けてもらった大量の書類を仕分けしているところです。
コメント1件
ネコ太郎
身内で片付けようとするとかなりの時間がかかると聞いたことがあります。
こういう状況に慣れている業者さんに頼むのが一番ですね。
2023-12-19 17:01:20
担当した専門家が解説!
「ここがポイント」
本事例では叔父さんが一命を取り留め、生前のうちに 推定相続人 である甥が家を片付けることができました。しかし、多くの場合は親族が亡くなってから、相続手続きに関わる書類の捜索が始まります。
相続では期限のある手続きがあります。その中で遺品が大量にあり書類の捜索が難航し焦ってしまうケースは多いと思われます。そのような状況に陥らないためにも、難航が予測される場合は少しづつでも片づけを進めてもらうなど、対処することが大切です。
また、家財や遺品の整理をどの業者に依頼したらいいのかわからないときは、市区町村などの行政窓口に相談してみてください。窓口にて、空き家対策に取り組むNPO法人や遺品整理業者など、状況に応じて安心できる専門業者を紹介してもらえることがあります。
解説者プロフィール
解決・空家サポート株式会社
城間 一弘
私たちは東京都西東京市を拠点に、空き家に関連するトータルサポートサービスを提供しております。東京・埼玉・神奈川を中心に、空き家の定期巡回や家財整理、不動産活用コンサルなど、空き家所有者様のお悩みを解決するお手伝いをしています。 これまで多くの空き家にまつわるお悩みを解決してきた経験を活かし、ご相談者様一人ひとりの状況に合った解決方法をご提案いたします。