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再建築不可の実家を相続 不動産投資家を狙いに定め売却成功

2022/9/27

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このページでは、被相続人である須田さんの叔父様のご自宅を担当した不動産業者が、今回の売却を振り返って解説します。

<この事例の概要>
ある日、須田 明人(仮名)さんは病院から「あなたの叔父さんが入院しており、余命わずかです」と連絡を受けました。慌てて駆けつけるも、ほどなくして叔父は逝去。叔父には子がいなかったので、甥である須田さんと4人の姪が自宅などを相続することになりました。葬儀などを終え、叔父の自宅を売却しようとすると、違法建築で売却が難しいかもしれないと判明。幸いにも難物件の取り扱いが得意な不動産会社を介して無事に売却でき、売却金と預貯金を相続人の間で等分に分け相続が完了しました。

解説者プロフィール

解説者プロフィール

北斗ソリューションズ株式会社

空き家・空地問題や地域活性化など、不動産にまつわる課題の解決のため、不動産事業の中で蓄積した経験と能力を活かし、調査・分析からソリューション開発までをおこないます。

物件の状態や立地は良好、けれど大きな課題あり

最初にお問い合わせくださったのは、須田様の相続手続きを請け負った行政書士からでした。「被相続人の自宅の不動産査定書を作成してほしい」と依頼されたのです。

当該物件は千葉県西部の住宅街にある一軒家。最寄駅から徒歩8分で3路線利用可能と交通の利便性が高く、近隣には学校や病院がある暮らしやすい場所でした。それでいてどこか懐かしい雰囲気があり、腰を落ち着けてゆったり過ごせそうという印象を受けました。

建物は築48年と古かったのですが、そのわりに傷みは少なく、少しきれいにするだけでまだまだ十分に住める家でした。しかし課題が2つあったのです。

再建築不可、借地利用料…売却への高いハードル

一つ目の課題は違法建築で、再建築不可物件であること。建物は原則として、建築基準法でいう道路に接していないと建築・増改築ができません。しかしこの家に接する道は「道路」としての要件を満たしていなかったため違法建築となり、一度建物を壊すと再建築できず、更地にしておくしかなかったのです。そのため建物付きで売却するしか道がありませんでした。また建物は人が住まないと急速に劣化します。劣化して建物が使えなくなる前に、迅速に売却する必要がありました。

二つ目の課題は、この家が接する通路の一部が近隣にある神社の借地であること。そのため借地利用料を隣接する物件の所有者全員で負担して支払っていたのです。金額自体は大きくありませんが、このようなイレギュラーな条件を疎む方は一定数いますので、購買層は限られるのではないかと想像できました。

こうしたことから正直、売却するには難しそうな案件だなと思いましたが、相続された須田様の「自分たちには用途がないから処分したい」というお気持ちはよくわかります。なんとかできないかと思案した私は売却先を絞り込むことにしました。

投資用としての売却に狙いを定めた

今回の物件は一見、再活用が難しそうですが、不動産投資家にはニーズがあると考えました。投資家はこのような難物件などを相場より安く購入し、リフォームして賃貸することで利益を出します。そこをピンポイントで狙っていけば、十分に売却できる可能性はあるはずだと考えたのです。

再建築できない物件ということもあり、須田様にご提示した査定額は、正直あまり高額とは言えませんでしたが、須田様たちはすぐに話し合い、即日でGOサインを出してくださいました。売却準備として必要な家財整理も迅速に対応してくださり、あっという間にハウスクリーニングまで実施できたのです。幸い叔父様が生前に荷物をあらかた処分していたようで、想定よりスムーズにきれいな状態にできました。

その後、売却が完了するまでの期間は当社で管理を引き受け、物件の状態を良好に保っていたのです。

当初の想定が当たり、無事に売却が成立

販売を開始して1ヶ月後、最初の問い合わせをいただきました。見た目がきれいで立地条件が良かったことから、狙い通りのニーズがあったようです。その後も複数の方から問い合わせをいただきましたが、ある事業者と縁があり売却に至りました。

須田様は思ったよりも早い購入希望者の出現に驚いていましたが、同時にとても喜んでくださいました。「売れなかったとしてもどうしようもない。買ってくれる人が現れるまで待つしかないと思っていた」と長い目で見る覚悟をしていたそうです。売却先が決まった際は安堵のため息を漏らしていました。


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