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税制優遇制度の利用 「失敗」を回避するため専門家を活用

2022/10/11

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このページでは、潮田さんが相続されたご実家の売却を担当した不動産業者が、今回の売却を振り返って解説します。

<今回の相続事例の概要>
潮田真理子さん(仮名)は、母親が亡くなって相続を経験しました。両親はずいぶん前に離婚していて、潮田さんは一人娘だったためシンプルな相続だったそうです。母親が遺したのは預貯金と実家。自宅を処分する際には、税制優遇を受けるため空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の制度を利用しました。また潮田さんは母親が存命のときに、遺産の内容を確認していたとのこと。そのおかげで事前に知識を蓄えながら心の準備をした上で相続に挑め、実家の売却と同時に相続を完了させました。

解説者プロフィール

解説者プロフィール

北斗ソリューションズ株式会社

空き家・空地問題や地域活性化など、不動産にまつわる課題の解決のため、不動産事業の中で蓄積した経験と能力を活かし、調査・分析からソリューション開発までをおこないます。

特別控除の制度を利用したい

潮田様は最初から「相続した実家を空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の制度を利用して処分したい」とおっしゃっていました。個人事業主をしており普段から節税意識が高かった潮田様は、平成31年の法改正でご自身の実家も制度利用の対象になると知り、税理士に相談するなど下準備をしていたそうです。私が念のために売却を希望されているご実家について調べたところ、手続きさえ間違えなければ制度を利用できると確信。「税制優遇を受けた上で、問題なく処分できます」と回答しました。

大きすぎる土地は業者向けに販売が吉

潮田様のご実家は千葉県西部にあるベッドダウンに位置していました。最寄駅から徒歩10分で近隣にはスーパーや学校、公園などがあり住環境は良好。千葉県内で人気の高い住宅地です。しかし土地が94.24坪もあり、昨今、土地を購入して家を建てる人が希望する広さが30〜40坪なことを考えると、そのまま1人の方に買っていただくことはかなり難しいと考えました。

そこで提案したのが、家屋を取り壊して更地にし、ハウスメーカーか不動産デベロッパーに販売すること。新築物件を建売する業者なら、広い土地でも分割して活用してくれるはずです。ただ法人への売却額は個人向けより下がるので、潮田様の売却希望額と乖離があるようなら個人向けの販売も検討することにしました。

何社かに声をかけると、あるハウスメーカーがかなり良い額で購入希望を名乗り上げてくれ、結果的に個人向けに売却するのとさほど変わらない額で成約できたのです。

絶対に撮り逃せない写真だからこそ、自分たちがおさえる

売却先が決まると、次は家財の撤去と家屋の取り壊しです。空き家は往々にして物置代わりに使われがちですが、潮田様もまたお母様の荷物のほかに、ご自身夫婦の荷物を多く置かれていました。特に旦那様は多趣味なようで、サーフボードや自転車などが置いてあり、それらはコンテナを借りて移すことに。お母様の荷物や不要なものは、私どもが手配した遺品整理業者に撤去してもらい、その後、家屋を取り壊しました。

解体の際、特に気をつけたのは空き家の譲渡所得3,000万円特別控除の制度に申請する際に必要となる写真を必ず撮ることです。特に取り壊し前の家屋の様子は、解体してからでは絶対に撮れません。これらはオーナーの潮田様自らが撮影しても良いのですが、その都度わざわざ足を運ぶのは大変ですので、私どもで撮影して提供しました。

制度を知っていたから利用できた

法制度の情報はなかなか一般に浸透しておらず、自分で調べなければわからないのが現状です。実際、税制優遇制度があることを知らないがために利用できない方が多くいらっしゃる中、潮田様は自ら能動的に情報を得てとても良い処分をされたと思います。空き家の処分に限らず何か行動を起こすときは、制度の有無を調べてみると良いかもしれません。


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