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相続成功事例|借地権のメリット・デメリットの整理で地主との難航する交渉が成立

このページでは、秋元さんのお父様が相続されたご実家の借地権売却を担当した不動産業者が、今回の売却を振り返って解説します。

<この事例の概要>
秋元 美江(仮名)さんのお父様は、次姉が亡くなって借地に建つ家を相続しました。誰も住む人がいないため地主への借地権買取りを希望し、その手続きを秋元さんに一任したそうですが、地主はその要望を拒否。しかし互いに不動産会社を立てて改めて交渉したところ、買取りを受諾してくれたのです。その後、ご自身で遺産分割協議書の作成と滅失登記の手続きを完了させ、売却の手続きを終えました。

解説者プロフィール解説者プロフィール

解説者プロフィール

北斗ソリューションズ株式会社

空き家・空地問題や地域活性化など、不動産にまつわる課題の解決のため、不動産事業の中で蓄積した経験と能力を活かし、調査・分析からソリューション開発までをおこないます。

借地に建つ家を売却したい

「不動産を相続したら借地だった」ということはよくあり、思わぬトラブルが生じてしまうケースも少なくありません。秋元さんから受けた相談は、まさにそうしたケース。「地主への借地権買取りを希望している。しかし地主はこれを拒否しているため、一般に売却しようと思うが今後どうすれば良いかわからない」とのことでした。

最初は地主と秋元さんで交渉していたそうですが、互いに働いているためなかなか時間を合わせて話すことができず、また共に専門知識を持ち合わせていなかったためうまく話が進められなかったそうです。ただ地主は「借地権を買い取る気はない」と宣言をしていました。秋元さんが「ならば借地権付きで一般に売却しても良いか」と尋ねると許諾してくれたとのこと。同時に「今後のことは、自分が懇意にしている不動産会社に相談してほしい」とも告げられたため、秋元さんも専門家である私たちに相談してくれたのでした。

2つの査定書を用意しつつ、1つのプランを前面に提案

私は、まず状況を確認し、査定書の作成を考えました。作成した査定書は「借地権付きで一般に売却する場合」と、「地主に借地権を買い取ってもらう場合」の2種類。

秋元さんのお父様が相続した家があるのは東京都の下町で、もともと借地が多いエリアです。エリアによっては借地権付きの不動産を売却するのは難しいのですが、借地であることが珍しくないこの地なら問題なさそうだと感じました。一方で立地条件から、地主は借地権を買い取った方が得する可能性があるのではないかと推測できたのです。該当物件は駅から少し離れた商店街の外れと商業地に位置していたため、地主が自ら借地権を買い取りビルなどを建てて売却すれば利益をあげられることが容易に想像できました。

こうした理由から地主側の不動産会社に「地主さんが借地権を買い取った方がお得だと思いますよ」と勧めたところ、先方も同意見だった模様。さっそく地主に打診してくれた結果、「借地権を買い取る」とご回答いただけました。

実は地主が借地権を買い取ることは滅多にない

一般的に、地主に借地権を買い取ってもらうのはなかなか難しいことです。借地権の価格は所有権よりは安価ではあるものの、不動産の売買においてはどうしても高額な金銭のやり取りが発生するため、金銭的問題で折り合いがつけられないことが往々にしてあります。今回、地主は最初「借地権を買い取らない」と言っていました。それはおそらく資金面の事情が大きかったのだと思いますが、なぜ一転して買取りを承諾できたのか。真相は聞いていないのでわかりませんが、何らかの理由でお金の都合がついたのでしょう。

また借地契約の内容によっては売却先が限定される、あるいは最初から売却が不可能なケースもあります。「第三者に対する譲渡を認めない」「無償で返却すべし」などと記載されていることもあり、処分したければ地主に無償で返却するしか方法がないこともあるのです。今回はそうした契約内容ではなかったので、ある意味ラッキーだったと思います。しかも秋元さんも地主も納得できる金額で売買契約が成立しました。こうしたケースは本当に珍しいのです。

借地=リスクではない。メリット・デメリットを理解していればOK

このような話を聞くと「借地権付きの不動産は買わない方が良いのかな」と不安になる方もいるかもしれません。しかし多くの物事がそうであるように、借地にもメリットとデメリットがあります。それらをしっかり把握して購入すれば、大きな問題が起こることはありません。

まずメリットとしては税金を節約できること。土地は地主のものなので、建物の固定資産税だけ払えばOK。デメリットは購入の際に住宅ローンを組みづらいこと。しかし最近はフラット35など、一定の要件を満たせば融資可能になる制度もあります。

借地権付きの不動産を購入するときに大切なのは、こうしたメリット・デメリットを事前に頭に入れておくことです。そうすれば自身にとって最善の選択ができると思います。

この相続事例は、本人および、
その本人をサポートした専門家
それぞれの視点で紹介しています

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