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相続手続きで押さえておくべきポイント

2023/3/28

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被相続人が遺言書を作成しておらず、相続人が複数いる場合、相続手続きは、「相続人の確定」→「相続財産の調査」→「遺産分割協議」→「相続財産の名義変更」というステップを踏んで進められていきます。これに加え、相続財産額が相続税の基礎控除額より大きい場合は、「相続税の申告」が必要となります。

各ステップの概要とポイントについてまとめましたので、実際に相続手続きに取り組む際に、ご活用ください。

相続人の確定

被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得し、誰が相続人となるかを確定させます。まず、被相続人の死亡時の本籍地の役所で戸籍謄本を取得し、転籍・結婚などで本籍地が変更されている場合は、変更前の本籍地の役所で戸籍謄本を取得、というように、出生時まで遡って取得していきます。

戸籍謄本の取得は、大変な作業となる場合もあり、司法書士などの専門家に取得の代行を依頼することも可能です。

相続財産の調査

被相続人の財産の全体像を把握し、 財産目録 を作成します。どこにどのような財産があるのか、財産の種類別に何らかの手がかりをもとに調査を進めます。

不動産の場合、市区町村から毎年送られてくる固定資産税の納税通知書が手がかりとなります。預貯金や上場株式など金融資産の場合、通帳やキャッシュカード、証券会社からの取引残高報告書などの郵送物が手がかりとなります。ただし、ネット銀行やネット証券などオンライン上での取引の手がかりは、被相続人のパソコンの中にしかない場合もあり得ますので、注意が必要です。

相続財産の調査は、想像以上に時間と労力がかかる場合があります。被相続人の生前に取引金融機関・証券会社の名称だけでも聴取しておくことができれば、相続発生後の労力が軽減できます。

遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、 遺産分割協議 により、誰が何をどれだけ相続するのかなどを決定します。決定には相続人全員の同意が必要で、一人でも反対する人がいると協議は成立しません。協議がまとまったら、 遺産分割協議書 を作成し、相続人全員が署名・捺印することで効力を発します。

「相続人の人数が多い」「認知症や行方不明の相続人がいる」といった場合は、円滑な遺産分割協議が難しいと思われます。また、「相続人同士が不仲」「平等に分割しづらい財産構成」といった場合は、相続トラブルに発展する恐れがあります。こうしたリスクが予見される場合、予め被相続人に 遺言書 を作成しておいてもらうと良いでしょう。遺言書がある場合、相続財産は、原則として遺言書の内容に従って承継されるため、遺産分割協議は不要となります。

相続財産の名義変更

遺産分割協議終了後、相続財産の名義変更をおこないます。財産の種類ごとに手続きの窓口が異なります。

不動産

不動産の名義変更は、対象不動産所在地を管轄する法務局で相続登記の申請をすることでおこなえます。司法書士に申請手続きを依頼するのが一般的です。

これまで相続登記に法律上の義務や期限はありませんでしたが、2024年4月1日から義務化されることが決まっています。義務化開始後は、相続による不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由なく相続登記をおこなわなかった場合、10万円以下の過料の対象となるため、注意が必要です。

預貯金

金融機関所定の書類を記入し、「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」「相続人全員の戸籍謄本」「相続人全員の印鑑証明書」「遺産分割協議書」などの書類を添えて窓口に提出します。金融機関が被相続人の死亡を把握した時点で口座は凍結されていますが、これらを提出することで、口座解約が可能となり、被相続人の預貯金を相続人の口座に振り込んでもらうことができます。

上場株式等

証券会社での手続きが必要です。被相続人の口座の残高を相続人の口座に移管する形で手続きをおこなうため、相続人が同じ証券会社に口座を持っていない場合は、新たに口座開設が必要です。

相続税の申告

相続税の税務署への申告期限は、「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」。期限までに遺産分割協議がまとまらないと、法定相続分で分割したと仮定して、「未分割」の状態で申告・納税をおこなうことになります。この場合、「配偶者の税額軽減の特例」「小規模宅地等の評価減の特例」など、相続税額を小さくできる特例が使えないため、納税額が大きくなってしまう場合があります(遺産分割協議成立後、特例を活用して申告をやり直し、差額の還付を受けることが可能です)。

また、不動産中心で金融資産が相対的に小さい財産構成の場合、納税資金の確保に困る場合があります。被相続人の生前に相続に詳しい税理士に相談し、相続税の試算をおこなうとともに、事前に財産構成の組み換えなど、納税資金確保のための対策を講じておくことが必要です。

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一般社団法人シニアライフよろず相談室

一般社団法人シニアライフよろず相談室は、信頼できる提携の専門家・企業とのネットワークを活かし、相続・終活など、シニアのさまざまなお悩みをワンストップで解決できる相談窓口を運営しています。毎週金曜日、夕刊フジにコラム「シニアライフよろず相談室」を連載中。