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法定相続情報証明制度とは|メリットと利用方法を解説

2022/10/7

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相続ではやらなければいけない手続きがたくさんあります。そして、手続きの際には多くの書類が必要となり、人によっては何度も役所に赴くなど、手間も時間もかかってしまいます。

そのような煩雑な相続手続きがラクになる「法定相続情報証明制度」が2017年から運用されています。この制度を利用すると、どのような点で相続人の負担が軽減できるのか、メリットと利用方法について解説します。

法定相続情報証明制度とは

相続が発生すると本来は所有者が変わったことを示す不動産の 相続登記 をしなければいけないのですが、義務ではないこともあって、相続登記されないままの不動産が増加していました。そのことが所有者不明土地や空き家の増加につながっていくと考えられ、その対策として相続登記を促進するために、法定相続情報証明制度が創設されました。

法定相続情報証明制度とは、登記所(法務局)に必要な書類を提出し、法定相続情報一覧図を発行してもらうことで、相続手続きを簡略化できる制度です。

これまでは相続登記の申請手続きをはじめ、被相続人名義の預金の払戻し、 相続税 の申告など、さまざまな相続手続きの度に、被相続人や相続人の戸除籍謄本の束を、何度も登記所や税務署などの関係機関に提出する必要がありました。しかし、この制度を利用することで、被相続人と相続人全員の関係を示す法定相続情報一覧図が交付され、その写しを提出するだけで済むようになりました。これによって相続人の負担を大幅に軽減することができます。

法定相続情報証明制度の特徴

法定相続情報証明制度は、相続手続きを軽減してくれる他にもメリットとなる特徴があります。

発行手数料が無料

戸籍謄本等を申請する際の手数料は1通300~750円かかり、これまでは相続手続きの際の費用負担も大きなものでした。しかし、法定相続情報一覧図の発行手数料は無料なため、費用負担が軽減されます。

5年間にわたり再発行が何度でも可能

法定相続情報一覧図は、5年以内であれば何度でも再発行をすることができます。相続手続きに含まれる不動産の登記や金融機関の口座解約などの手続きの回数が多い場合は、より利便性が高いと言えます。

代理申請できる

法定相続情報一覧図は本来、相続人の誰かが申請するものですが、資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)に依頼し、申請してもらうことができます。

郵送での申請ができる

法定相続情報一覧図の申請は、「被相続人の本籍地」「被相続人の最後の住所地」「申出人の住所地」「被相続人名義の不動産の所在地」のいずれかの登記所の窓口で申請をしますが、遠方であったり、忙しくて時間がなかったりする場合は、郵送でも申請が可能です。

このように多くのメリットがある制度ですが、制度の利用には被相続人、相続人全員が日本国籍を有していることが条件になります。被相続人や相続人が日本国籍を有しておらず、申請に必要な戸除籍謄本を添付することができない場合は、法定相続情報証明制度は利用できません。

法定相続情報証明制度の申請手続き

法定相続情報証明制度は、申請から利用開始まで以下のような流れで手続きが進みます。

①申し出(法定相続人または代理人)
・戸除籍謄本等を収集
・法定相続情報一覧図の作成
・申出書を記載し、上記の謄本等と一覧図を添付し、登記所へ申出

【申し出時に必要な書類】

  • ・被相続人の戸除籍謄本(出生から死亡までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本)
  • ・被相続人の住民票の除票
  • ・相続人全員の現在の戸籍謄本または抄本(被相続人の死亡日以降の証明日のものが必要)
  • ・申出人(相続人の代表として手続を進める方)の氏名・住所を確認できる運転免許証やマイナンバーカード、住民票の写しなどの公的書類をひとつ
  • ・作成した法定相続情報一覧図

②確認・交付(登記所)
・登記官による確認、法定相続情報一覧図の保管
・認証文付き法定相続情報一覧図の写しの交付、戸除籍謄本等の返却

③利用
認証文付き法定相続情報一覧図の写しを各種の相続手続きにて利用。

法定相続情報一覧図の作例

法定相続情報一覧図、申し出時に記載する申出書などは、法務省のホームページに書式や記載例が掲載されていますので、そちらを参考にご自分で作成することも可能です。それでも難しい場合は、専門家などに相談しましょう。

まとめ

法定相続情報証明制度は運用開始からまだ年月が浅いこともあり、この制度自体をご存知のない方も多くいます。相続財産に複数の不動産があったり、たくさんの銀行口座の解約が必要だったりする場合はとても有用な制度ですから、制度の利用を検討してみましょう。

監修

監修

 

司法書士法人松野下事務所/
一般社団法人エム・クリエイト

松野下グループは、超高齢社会の様々な不安、困り事を登記部門として「司法書士」が、資産コンサルティング部門としてシニア層に特化した「ファイナンシャルプランナー」が、各専門家と連携して、より高度で充実したコンサルティングをおこなっております。