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法定相続人とは|範囲と相続順位

2022/9/23

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家族の誰かが亡くなると相続が発生します。このとき亡くなった人の遺産を誰が相続するのか、法律で定められていることを皆さんはご存知でしょうか。

法律で定められた相続人のことを「法定相続人」と呼びます。今回は相続の基本的な知識である法定相続人の範囲と順位について、どのように法律で定められているのかを解説していきます。

法定相続人とは?

法定相続人 とは、民法で定められた被相続人(故人)の財産を相続する権利のある人のことをいいます。

法定相続人は、被相続人の血縁者であり、「配偶者」「子」「親」「兄弟姉妹」という四つに分類され、それぞれ相続権の優先順位を定めています。

故人が 遺言書 を遺していない場合、法定相続人全員で相続のしかたを決めていきます。

法定相続人の範囲と優先順位

法定相続人の範囲と優先順位について詳しくみていきましょう。

配偶者は常に法定相続人になる

被相続人の法律上の配偶者である妻や夫は、必ず法定相続人になります。

“法律上の”と記載しているとおり、法的な婚姻関係にある配偶者1人に限られ、内縁や事実婚の場合は、法定相続人として相続をする権利はありません。

一方、仮に被相続人の死亡時に別居をしていたり、離婚について裁判で争いが生じていたりしても、法的な婚姻関係が継続している限りは、法定相続人として相続をする権利があります。

第1順位:子や孫(直系卑属)

被相続人の子が、法定相続人の第1順位となります。子には、胎児や 認知 した 非嫡出子 、養子縁組をした養子なども含まれ、相続権を有します。子が複数いる場合には人数で等分して、等しい割合で相続します。

例えば、相続が発生したときに子が2人いる場合は、子としての遺産相続分をそれぞれ2分の1ずつ分け合うことになります。

また、相続が発生した時点で被相続人の子が死亡している場合にはその子ども(被相続人にとっては孫に当たる)が、相続の権利を承継します。このように世代を超えて相続することを 代襲相続 といいます。

第2順位:父母・祖父母(直系尊属)

被相続人の父母や祖父母は、第2順位の法定相続人になります。被相続人の父母と祖父母、どちらも存命であるという場合は、被相続人に親等の近い父母が相続人となり、祖父母に相続権はありません。

第2順位の法定相続人は、第1順位の相続人がいない場合にのみ相続の権利が得られます。つまり、被相続人に子や孫がおらず、父母が健在な場合です。

なお、第2順位の父母・祖父母には代襲相続の権利はありません。

第3順位:兄弟姉妹(傍系血族)

被相続人の兄弟姉妹は、第3順位の法定相続人となり、子や孫、父母、祖父母といった第1順位、第2順位の相続人がいない場合に初めて相続する権利を得られます。

なお、被相続人の配偶者の兄弟姉妹、つまり義理の兄弟姉妹には相続権がありません。

また、第3順位の兄弟姉妹は直近一代(被相続人にとっての甥・姪)にのみ代襲相続の権利が認められています。

代襲相続って何?

代襲相続とは、本来は法定相続人となるべき人が死亡している場合、あるいは相続人の権利を失くしている場合に、被相続人の孫やひ孫、甥や姪などが代わりに相続人になることをいいます。例えば、下の図のように第1順位の相続人である子Aが死亡している場合、次世代の孫Dと孫Eが代襲相続人となります。

第1順位、第2順位の相続人がおらず、相続権が第3順位の兄弟姉妹にわたり、その兄弟姉妹が既に死亡している場合は、その子ども、つまり被相続人にとっての甥姪が代襲相続人となります。

注意が必要なのは、第2順位の父母・祖父母には代襲相続の資格がない点です。つまり、第2順位の相続人である父母・祖父母が亡くなっている場合には、代襲相続は発生せず、次の第3順位の兄弟姉妹がいれば、そちらに相続権がわたります。

代襲相続は、次の世代に相続権を移すことを趣旨としているため、世代が遡る第2順位の法定相続人には代襲相続の資格がなく、あくまでも第1順位(子・孫)と第3順位(兄弟姉妹・甥姪)が相続人になる場合にのみ適用されます。

また、第1順位の代襲相続人である孫が死亡している場合にはひ孫へ、ひ孫が死亡している場合には、玄孫(やしゃご)へと、際限なく後の世代に代襲されますが、第3順位の代襲相続人である甥や姪が死亡している場合は、その後の世代に代襲相続の権利はありません。

まとめ

相続を開始するにあたって最初に取り組むべきことは、相続財産ならびに法定相続人の特定となります。

法定相続人の特定に関しては、被相続人の出生から死亡に至る戸除籍謄本よりおこないますが、それによって被相続人の知られざる過去が明らかとなり、想定外の問題に発展することがあります。

民法では法定相続人の範囲についてあらゆるケースを規定していますが、実際の相続では感情論で納得いかないことも出てくるでしょう。

法律で決まっている以上、従うしかありませんが、トラブルにならないように事前に親としっかりと話し合っておくことが大切になります。

(この記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています)

監修

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司法書士法人松野下事務所/
一般社団法人エム・クリエイト

松野下グループは、超高齢社会の様々な不安、困り事を登記部門として「司法書士」が、資産コンサルティング部門としてシニア層に特化した「ファイナンシャルプランナー」が、各専門家と連携して、より高度で充実したコンサルティングをおこなっております。